マレーシア・エッグドナー体験記 東京都 A 23歳

                                
エッグドナー・マレーシア
                                                                  

マレーシアでエッグドナーとして協力して

卵子ドナー体験記

わたしは昨年の夏、マレーシアにて卵子ドナーになりました。
そのときの記録を、ドナーとして決定するところから帰国後まで記していきたいと思います。

卵子ドナーはクアラルンプールで

わたしが卵子ドナーになろうと思ったきっかけは、インターネット上で卵子ドナー募集の広告を見て、自分の卵子が役に立つのならとても素敵なことだと感じたためでした。
ドナーになるには二週間ほど海外で過ごす必要があり、

 これが可能なのは学生のうちだけかもしれない、一度きりの人生、いろいろなことを経験したい!

と考えていました。

すぐに返事があったのがアクトワンさんだった

「卵子ドナー」でインターネット検索をかけて表示されたエージェンシーのサイトから、ドナーとしての申し込みをしました。
だいたい4社ほどだったかと思います。
その中ですぐに返事があったのがアクトワンさんでした。
その他のエージェンシーは、資料請求をしたのに届かなかったり、返事が途中で途切れたり、と対応がよいところを見つけるほうが難しそうでした。
都内在住ということもあり、数日後面談をすることになりました。
当日はとてもどきどきしながら事務所に向かった記憶があります。
しかし、スタッフの方々の物腰の柔らかさにとても安心できました。
とても真剣にお話を聞いてくださり、帰る頃には「もし自分がドナーになるのだとしたら絶対にアクトワンさんで!」と決めていたくらいでした。

ドナーとしての滞在は素敵

依頼がありました

それから半年、年度の変わり目にスタッフの方が連絡をくださいました。
近況の確認と次の年度で渡航不可な日程などあれば教えてください、とのことでした。
この時期はとても忙しく、正直この段階で卵子ドナー希望者として登録していたことを忘れていたくらいだったため、こういった確認をとってもらえるのはとてもありがたかったです。
その二日後に「Aさん(私)にご協力をいただけないだろうかとご依頼がありました」との連絡が入ります。
わたしでよければ!という気持ちで食い気味に返信したことを覚えています。
その後もう一度事務所にて、詳しく説明を受けました。
都度不明点がないかを確認してくださるため、心配はありませんでした。

エッグドナーとしてのマレーシア滞在

自分の身体について考えるきっかけになった

実際にドナーになると決まったら、その後は事前検査を受診します。
卵胞の数や感染症の有無、血液検査によってホルモン値を確認します。
普段は異常でもなければ婦人科に行くことはなく、こういった検査をすることはなかなかないので、改めて自分の身体について考えるきっかけにもなりました。

検査項目に問題がないことがわかると、スケジュール調整に入ります。
用事のある日程を伝えると、その日程を避けて渡航スケジュールを組んでいただけたため、とても助かりました。
航空券やホテルの予約もしていただいて、海外旅行保険にも加入させていただけるのでとても安心できました。
渡航の10日前ほどでEチケットと保険渡航者カードが送られてきて、いよいよだ!と感じました。

いよいよマレーシアへ出発

マレーシアへ行ったことはなかったので、はおりものやマスクがあったほうがいいですよ、など事前に細かなアドバイスがあってとても助かりました。
日本食が恋しくなるかも……とインスタントの味噌汁などを用意した荷造りをして、いざ出発します。

機内食があまり口に合わず、しょんぼりしながら持ってきた本を読んでいたら、あっという間にクアラルンプール。
そのときはわくわくよりも
「あんまりご飯おいしくないのかなー。だったらやだなー」
とご飯のことばかり考えていました。

卵子提供マレーシア

到着して、預けていたスーツケースを引き取って、出口に向かうと、現地のスタッフの方が迎えにきてくださっていました。
当時はそこまで意識していませんでしたが、日本で連絡を取り合うスタッフの方も、現地でやりとりをするスタッフの方も女性なのが個人的にはありがたかったです。
生理が始まったら報告をするのですが、それ以外でも
「今少し出血があるのですが問題ないですか?」
など体のことを相談しやすい環境がそろっていて安心できました。
車内では、ホテル近くのおすすめの飲食店や、危険だから通らない法がいい道など、マレーシアについて細かく教えていただきました。

ホテルは、とにかく広くて綺麗!キッチンもついていて、夜景もきれいに見えます。
こんなところに二週間も滞在してしまったら、日本の家に帰れなくなりそう……と思うくらいでした。

マレーシアでの過ごし方

垂直に刺せば痛くない

クリニックへの通院はだいたい二日おきで、卵子の様子を確認されます。
これは大体午前中の間には終わってしまいます。
毎日行わなければならないのが、自己注射。ホテルの冷蔵庫に入れておいた注射を毎朝打ちます。
最初は自分で注射なんて!と思っていましたが、案外痛くないし、打っているうちにどんどん慣れていきます。
垂直に刺す、とか気泡を抜いてから注射をすれば痛くない、などもしっかりとクリニックでレクチャーしてくれるので心配はいりません。
毎回の通院にスタッフさんが付き添ってくださるので、英語ができなくても気軽に質問できます。
それ以外の時間はほとんど何をしても自由なのが、すごく気楽でした。
ほとんど、というのは喫煙や飲酒、性行為などはNGなためです。
お酒が好きなわたしは少しつらかったですが、それもたった二週間。
スーパーで買ったタイガービール(ホワイトはマレーシア限定)を冷やしておいて、採卵後の楽しみにおいておきました。

卵子ドナーマレーシア

マレーシアでの過ごし方

アクティブなタイプでない場合、なにか暇つぶしできるものを持って行くのが吉かもしれません。
わたしは通院のない日は朝から遠出をして、バードパークにいったりしたのですが、ホテルを出ないモードの日は何をしようかとても悩みました。
数冊持ってきていた文庫本を読み終えた後、動画配信サイトで動画を見ようとしたら「お住まいの国では再生されません」と表示され、好きなコンテンツを楽しめない、なんてことがありました。
ホテルはWi-Fiが利用できるので、インターネットは自由に楽しめるのですが、普段の暇つぶしが動画配信サイトという方は要注意です。

また外食もいいのですが、スーパーに行くのもとても楽しかったです。
ホテルから出ているシャトルバスにはとてもお世話になりました。
ランブータンやロンガンなど、日本ではあまり食べられないフルーツが山ほど売っているのに非常にテンションがあがりました。
外食も、物価が安く五百円でお腹がいっぱいになるくらい食べられたり、日本食が恋しくなったら丸亀製麺に行ったりと、充実した食生活を送れました。
念のために持って行ったインスタント味噌汁は、あまり減りませんでした。

クアラルンプールは都会

あっという間に手術の前々日

そんなこんなでマレーシアを満喫していたら、あっという間に手術の前々日になっていたので驚きです。
それまでの検査では、なかなか卵子が大きくならず採卵日を予定より遅らせるかも、という話もあったのですが、
その日の検査で先生が放った言葉は「No choice.」選択の余地なし! 
当初の予定通りに採卵日が確定しました。
それを聞いたわたしは、ふっと力が抜けました。
すっごく安心しました。
卵子を成長させるにはストレスは大敵で、とはいえドナー自体が初めての経験だし、もしも卵子が成長してくれなかったら全て無駄にしてしまう、
それだけは……と密かに思っていたのです。
まだ採卵が残っているため、完全に終わりではないけれど、一旦そこですごく安心したのを覚えています。

それから手術前36時間前に打つ注射の説明を受け、手術前の注意点などを聞いていました。
注射は絶対に時間厳守!とのことでホテルに戻ってすぐ携帯でリマインダーをかけたのを覚えています。

マレーシア卵子ドナー

採卵日、当日のこと

手術当日は朝ごはんが食べられないし、化粧もできなかったのでぎりぎりまで寝ていました。
昨日までの緊張感はいずこ……。
スタッフさんに聞いた話だと手の甲に麻酔を打つのがとても痛いらしく、麻酔を打つ部分に麻酔のクリームを塗るようにと看護師さんにお願いしてくれ、実はビビりなわたしはとても助けられました。

実際に麻酔をしたのは手の甲でなく、ひじの裏側だったのと、クリームのおかげで痛みもなく手術が始まりました。
全身麻酔を打ってから、少し経つとふっと意識が遮断され、気付けば手術室から、手術前に寝かされていたベッドへワープしていました。
初めての全身麻酔で、眠るとはまた違う、時間をカットされたような感覚に、本当に採卵できたのだろうか?と心配になりました。
痛みがほとんどなかったのも実感がわかない要因の一つでした。
目覚めて、ぼーっとしていると看護師さんによってビスケットとミロが手渡されました。
前日の夜から何も食べていなかったわたしはそれをぺろりと平らげました。

エッグドナーの採卵後

手術着から私服に着替えて部屋を出ると、スタッフさんが待っていてくれました。
お疲れさまでした、と声をかけられて、
ようやく「本当に終わったんだなあ」とやっと実感がわきました。
ホテルまで送ってもらい、その後は爆睡してしまいました。
その日の夜に飲んだビールがとても美味しかったことを覚えています。

あとがき

二週間と少し、とても貴重な経験をしました。慣れない自己注射など、もちろん楽なことだけではないですが、
事前検査などが自分の体と向き合うきっかけになったり、
わたしの卵子が誰かの役に立つのだと思うと、
とてもポジティブな経験だったと言えます。

なによりも、きめ細やかで丁寧なアクトワンのスタッフさんたちに、とても感謝しています。
ありがとうございました。