卵子バンクとは

                                                                                                  

排卵異常や卵子の老化が原因で不妊に悩むご夫婦にとって、妊娠の可能性のある最後の手段ともいえる卵子提供、日本国内ではこれまであまりなじみが無く、治療を受けるための設備も、それによって産まれてきた子どもとの関係を取り巻くさまざまな法整備も十分ではありませんでした。

わずかな国内の事例では、治療を望むご夫婦への卵子提供者が肉親や、近しい友人・知人に限られており、身近に卵子を提供してくれる相手のいないご夫婦にとっては治療の第一歩すら踏み出すことができないのが実情でした。

しかし、近年では女性の社会進出の活性化や晩婚化に伴い、初産の年齢が年々高齢化しています。
それによって、卵子の老化が原因と考えられる不妊に悩むご夫婦の数も増加しており、卵子提供に対するニーズが高まっています。

これを受け、日本国内に卵子バンクが続々と設立されています。

卵子バンクとは、自分自身の卵子で妊娠することが難しいご夫婦に対して第三者の卵子を提供するサービスです。

海外では珍しくない卵子バンクですが、日本国内では2013年にNPO法人がスタートしたものが第一号となります。

卵子提供者となるエッグドナーは、まず卵子バンクにドナー登録を行います。
卵子バンクの卵子には妊娠の成功率を上げるため質の良さが求められます。

そのため、提供者自身の年齢や健康状態、生活習慣などに対しては厳しい条件が設けられています。

一般的に年齢は35歳未満ですでに出産経験があることが求められる場合もあります。
アルコールや薬物への依存がなく、喫煙の習慣も避けられます。

また、エッグドナーとしての心構えや卵子提供に対する十分な理解も求められます。

採卵を卵子提供プログラムの実施される海外の都市で行う場合は、短期間の渡航が可能である必要もあります。
また、卵子バンクでの卵子提供は基本的には無報酬です。

渡航費用や宿泊費、診察費等は卵子バンクから支払われますが、提供した卵子によって妊娠に成功したとしても報酬が支払われることはありません。

採卵には、卵子の採取による卵巣の腫れや排卵誘発剤の摂取による腹部膨満感などさまざまなリスクがあります。

また、数日間を海外で過ごし、その間診察や排卵誘発剤の摂取などの労力も必要となります。
それにも拘わらず、無償での卵子提供に応じる女性は数100人を超えているといいます。

卵子提供には高額な治療費がかかります。
その治療費への負担を少しでも軽くし、不妊に悩むご夫婦のためにご自身の卵子を少しでも役立てたいというボランティア精神にあふれた方々のおかげで、治療が叶い、念願のお子様を授かることのできたご夫婦が確かにいるのです。